相続登記とは?(不動産の相続手続き)
2021.09.09
皆さんこんにちは。
このブログでは、皆様に安心してご相談いただけるよう、当事務所の業務について、ざっくばらんにご紹介していきたいと思います。
今回は、当事務所へご依頼の多い、不動産の相続手続き(いわゆる「相続登記」)についてです。
相続登記とは
まずは不動産(土地・建物)の登記制度についてご説明します。
例えば「土地」は、面積や境界がどうなっているのか、現地を見ても明確ではありません。また、所有者が誰なのか、全ての土地に名前入りの看板を立てておく訳にはいきませんので、これも現地でははっきりとしません。
そこで、確知の法務局に「登記簿」を備え付け、面積や図面、所有者の住所・氏名などを公開することで、不動産の権利関係が分かるようになっています。
そして、例えば土地の売買があった場合は、法務局へ申請することで、新しい所有者の住所・氏名が登記簿に記録されます。
この登記申請は義務ではありませんが、買主の方が「自分がこの土地の所有者だ」と他人に主張するためには必須です。登記簿に名前がないのに、「自分のものだ」と言い張られても、他人には確かめようがないですよね。
所有者がお亡くなりになられたときも、登記簿上の所有者を、新たな所有者となる相続人等の名義に書き換える、いわゆる「相続登記」を必要があります。この相続登記をしなければ、相続人が不動産を売却することもできません。
なので、不動産の所有者がお亡くなりになられたときは、相続登記をする必要があるのです。
なお、この相続登記の申請はこれまでは義務ではありませんでしたが、この度の民法改正により、令和6年までに義務化されることとなりました。
ちなみに、不動産所有者が亡くなられたとき、自動的に市町村役場から、「代表相続人指定届」を提出するよう手紙が届きます。これは、今後は誰に固定資産税の納付書を送付すればよいのか、市町村役場が把握するための書類です。
「市役所に書類を出したから、不動産の名義は変わっているはず」とおっしゃる方がありますが、全く別の手続きですのでご注意ください。
相続登記をせず放置したらどうなるか
では、相続登記をしないまま放置した場合、どうなるのでしょうか。
結論からお伝えすると、年数が経つに従って相続登記が困難になっていきます。
そもそも、「遺言書」が無い場合は、相続登記のためには法定相続人全員の同意(手続き的には全員の実印と印鑑証明書)が必要になります。これを「遺産分割協議」と言います。
そして、所有者が亡くなられて年数が経つと、まず考えられるのが、相続人の一部が亡くなられて次の相続が発生し、相続人がねずみ算的に増えていくことです。
そうすると、縁遠い方に手続きへの協力をお願いしなければならない事態になりますし、さらに言えば、お手紙を出しても反応が全くない方や、認知症で話し合いをする能力が無くなってしまう方、行方が分からない方などが出てきて、非常に手続きが難しくなります。
当事務所にも、亡くなられてから相当の期間が経ってご相談いただくことがありますが、相続人が非常に増えてしまっていて、費用が高くなり、また、依頼者ご自身が他の相続人と話し合うという負担も大きくなってしまいます。
特別な事情が無ければ、早めに相続登記をされるに越したことはありません。
もし相続人の間で揉めてしまっているとすれば、早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
相続登記は自分でできる?
相続登記は、もちろんご自身ですることができます。登記申請に必要な書類等は、概ね次のとおりです。(遺言書が無いケースです)
- 登記申請書
- 亡くなられた方の、生まれたときから亡くなられたときまでの連続した戸籍謄本
- 亡くなられた方の住民票除票
- 相続人全員の戸籍謄抄本
- 相続人全員が実印を押した遺産分割協議書(誰が亡くなり、どの相続人がどの遺産を相続するのかを記載した書類)
- 相続人全員の印鑑登録証明書
- 新たな所有者となられる方の住民票写し
- 登録免許税納付のための収入印紙
- 固定資産税納税通知書(又は課税明細書)のコピー
一見、それほど難しくないように思えるでしょうか?脅かすわけではないですが、例えば預貯金の相続手続きに比べると、はるかに大変です。
まずは、戸籍関係を集めます。県外に本籍地がある(あった)場合は、郵送などで請求していきます。
そして、申請する不動産を特定するために、固定資産税納税通知書や登記済証(不動産権利証)の情報をもとに、法務局で登記簿謄本を取得します。
この登記簿の記載事項も見ながら、遺産分割協議書や登記申請書をご自身で作成します。
また、固定資産税納税通知書と登記簿を照らし合わせながら、登録免許税の計算をします。
ケースによっては追加資料を求められることもあります。
最近では法務局のホームページに申請書の様式や記入例が掲載されていますし、法務局で登記相談を受け付けていますが、それでも、簡単なケースでも2度3度と法務局に足を運ぶことになると思います。
実際に、ご自身で取り掛かってみたけど途中であきらめた、と当事務所にご相談いただくケースもあります。
相続人が配偶者と子だけで、不動産の数も少なく、時間に余裕がある方は、ご自身での申請も十分可能と思います。
ただ、そうでない方は、専門家へ一度ご相談されることをお勧めします。
当事務所は、初回のご相談は無料とさせていただいています。結果的にご依頼いただかなくても結構ですので、お気軽にご相談ください。
次回は、当事務所にご依頼いただいた時に、どのように相続登記の手続きを進めているのか、ご紹介したいと思います。